FireFest 観戦記 - 2005.05.07 Live Report

PRIDE
Coming soon


HOUSE OF SHAKIRA
Coming soon


M.ILL.ION
3年間隔でアルバムを順調にリリースし、いつの間にか10年を越えるキャリアを誇るベテランになった M.ILL.ION 。昨年リリース "KINGSIZE" がバンドとしての最高傑作だっただけ上に、海外のウェブジンではライブアクトとしても評価の高いバンドであるだけに個人的にも今回のラインナップの中ではかなり期待していた。ライブは新作より名曲 "Eyes Of The King" で幕を開けたが、力強く歌い上げるハイトーンヴォーカルと骨太なギターリフを主軸とした DEEP PURPLE の影響下にある北欧様式美にキャッチーなメロディをプラスしたパワフルかつメロディアスな北欧メタルサウンドはライブにおいても確かな説得力を持っている。アルバムに比べ幾分荒っぽくはあるものの、ライブならではの勢いと好意的に解釈できるレベルであり、プレイ面におけるライブアクトとしての評価の高さも確かに頷ける。

しかし、セットリストは新作と前作から中心に組まれていたが、ライブ映えするキャッチーな曲よりも割とじっくり聴かせるタイプの曲を中心にしていたせいか今一つノリきれなかったのも事実。また、前2バンド同様、音がデカ過ぎるためにヴォーカルのハイトーンは伸びてくるものの、中音域で歌うとバックの音にかき消されてしまっていたのの不憫ではあった。音の悪さは致し方ないにしてもセットリストに関しては短いフェスでのステージだけに初見のリスナー向けにもう少し取っ付き易い曲を増やしても良かったのではないだろうか。ライブアクトとしての実力は確認できたものの、個人的には期待が大きかっただけに少々不満の残る結果になってしまった。


LEGS DIAMOND
申し訳ないがこのバンドはアルバムを聴いたことがなかったこともあり、始めから休憩タイムに割り当てることを決めていたため前半はあまり観ていない。1970年代から活動を続けているベテランらしいが、軽く観た印象では Y&T や THE RODS にも通じる LA メタル以前のオールドスクールなアメリカンハードロックといった印象か。サビで曲名連呼といったと良くも悪くも大味な楽曲自体にはあまり惹かれるものはないものの、聴いているだけで自然と体の揺れてくるノリの良さとハスキーなかすれ声を持つヴォーカルの熱唱は観ているものを惹き付ける説得力があり、ステージが進むにつれ軽く観ているつもりがいつの間にか集中してじっくり観てしまった。改めてアルバムを聴いてみたいとは思わなかったものの観終えた後に充実感を残る好演だった。


CASANOVA
まさかオリジナルメンバーで CASANOVA が観られる日が来るとは思いもしなかった。個人的には再結成作 "ALL BEAUTY MUST DIE" もなかなか気に入っていたのだが、やはり生で聴くなら初期の名曲が聴きたいわけで、そんな期待をパンパンに膨らませたところで始まったステージを目の当たりにして愕然。かつてドイツの BON JOVI と言われた往年の面影は残してはいるものの、ステージ上にいるのは趣味でバンドをやってる恰幅のいいお父さんといった表現がまさに適切。自分の彼らに対するヴィジュアルイメージが1990年代前半で止まっているせいかもしれないが、あまりの変わり果てた姿に動揺は隠し切れない。

まあ、見てくれが変わろうと音楽さえ素晴らしければそれで良いと気持ちを切り替えステージに集中するとやはり音楽的な本質は変わっていない。 Michael Voss の甘く切ない美声はスタジオ音源以上に心に響いてくる。また、ヴォーカルのみならず抱えたギターをお飾りにすることなくギターソロも積極的にプレイしていたのが意外ではあった。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムのシンプルな編成のため、キーボード等はテープを使って再現しているせいかステージ進行の流れが悪く集中力が途切れてしまうことが多々あったが、 1st, 2nd 最新作の曲を中心に構成されてセットリストは非常に魅力的でキャッチーかつ甘美なメロディを生で存分に楽しませてもらった。中でも 1st 収録の名曲 "Ride The Wings Of Freedom" にはひたすら感動。ただ、2ndからは "The Doctor Is In", "Dead Man's Hand" といったヘヴィな楽曲をチョイスしていたが、ここでは甘いだけではないことをアピールしたいのかハイトーンシャウトを披露するのはいいのだが、キチンと歌えてないのはいかがなものかと。

そしてラストには SILVER 繋がりかゲストに Gary Burden が登場、 UFO の "Doctor Doctor" をヘタクソなヴォーカルで聴かせてくれたおかげでちょっと興醒め。こんなお粗末なパフォーマンスをするくらいならもっと聴かせるべき曲があったのでは?との疑問は拭えないが、出来はともかく、オーディエンスはそれなりに盛り上がっていたしフェスティヴァルにちょっとしたサプライズを加えたいというバンドのサービス精神だと解釈したい。


DARE
過去に2度出演した THE GODS ではいずれもヘッドライナーとして登場した DARE が中盤で登場するとは今回のフェスのラインナップがいかに充実しているかを表しているのではないかと思う。 BGM がフェイドアウトしこれから始まろうかという時に司会兼 DJ が「ステージには PINK CREAM 69 の登場だ!」と順番を間違えてアナウンスしてしまった。バンドもこれに気を取られたのかオープニングの "Sea Of Roses" では A メロをすっ飛ばすというミスを犯してしまったものの、曲を終え、照れくさそうにオーディエンスにごめんと詫びる Darren Warton のいつもと違う一面が垣間見えたのが印象的だった。このミスで肩の力が抜けたのか、それ以降はバンドはいつも以上にリラックスした様子でステージを進めていく。いつもならは襟付きシャツで正装し凛とした印象の Darren Warton が T シャツにジーンズというラフな出で立ちで笑顔を振り撒きながら歌っている姿からもヘッドライナーという気負いのなさが良い意味でステージに反映されているといった印象を受けた。

セットリストは最新ライブアルバム "THE POWER OF NATURE" から "Where Darkness Ends" を除く10曲を披露。悪天候に襲われた野外フェス出演時の模様を収録したライブアルバムでは本来の実力を出し切れていなかった感があったものの、今回は本来のライブバンド DARE としての実力を存分に発揮できていたのではないかと思う。後半に立て続けに披露された 1st からの楽曲で起こった合唱と会場の一体感がそのステージの充実振りを表していた。過去に2回もヘッドライナーでのショウを体験しているだけに今回のたった50分のステージは物足りなさを覚えたのも事実ではあるが、ライブアルバムでは今一つだった印象を補填して余りあるほどの素晴らしいステージであった。やっぱり生で観る DARE は最高の一言に尽きる。


PINK CREAM 69
David Readman が加入してもう10年以上経つが、 PINK CREAM 69 としては初のイギリス公演になるらしく、ステージに PINK CREAM 69 が告げられバンドメンバーが登場、 David Readman はよほど嬉しいのか顔から笑みがこぼれている。ライブは最新作 "THUNDERDOME" よりオープニングにはうってつけのアリーナロック的なビッグコーラスを持つ "Thunderdome" で幕を開けた。バンド自体は Andy Deris 在籍時からライブアクトとして評価は高かったが、あの当時から比べると各メンバーのバンド以外での活動も増えたこともあり、ライブを行う機会は減っているように思うがタイトな演奏力、コーラスハーモニーの再現力は依然として高いレベルを維持している。

そして今の彼らには David Readman という切り札がある。 PINK CREAM 69のヴォーカルとしては今回が初のイギリス公演ということもあり、気合も入り方が違うのか、 MC ではにこやかに笑顔を振り撒きつつも曲に入った途端、気迫のこもった力強い歌唱を聴かせる。タイトなプレイと曲の良さだけでも十分観応えはあるのだが、やはりそこにこれだけの存在感を持つフロントマンがいるといないとではオーディエンスを惹き付ける説得力も違ってくる。セットリストは全作品をほぼ網羅していたが、中でも終盤でプレイされた "ELECTRIFIED" 収録の名曲 "Shame" は圧巻の一言であった。中にはこの曲を知らない人間も少なくなかったのか、曲名がコールされた時はリアクションが薄かったものの、キャッチーという言葉が適切な強力なフックを持つメロディがオーディエンスの心に届いたのか、曲が終わるとそこかしこから拍手喝采が沸き起こった。この1曲だけで David Readman の凱旋公演は大成功に終わったといって良いだろう。


FIREHOUSE
昨年のイギリスツアーでオーディエンスとの距離が縮まったのか、彼らがステージに登場すると一際大きい歓声が湧き上がる。ライブは "Lovers Lane" で始まったが写真を撮る為に最前列付近にいたものの、オーディエンスのあまりの盛り上がりに1コーラスほどで自分の居場所を確保できなくなってしまった。個人的には過去に数回来日公演を体験済ということもあり、この先の TNT, SOUL SIRKUS のために体力を温存しようとフロア脇のバーカウンターに移動、以降はビール片手に食事を取りながらじっくり楽しませてもらうことにした。

セットリストは最新作 "PRIME TIME" から "Crush", "I'm The One" の2曲をプレイした以外は全て 1st, 2nd からの曲で構成されていたが、とりわけ "When I Look Into Your Eyes", "Love Of A Lifetime" といった必殺のバラードでの盛り上がり方が凄まじい。この辺りに HR/HM リスナー以外をも惹き付けるだけの魅力を持つ普遍的な楽曲の強みをまざまざと見せ付けられた気がする。また、彼らのライブを観るたびに思うのだが、人柄の良さがそのままステージに反映されたかのようなポジティヴな雰囲気はオーディエンスとしてそこにいるだけで楽しい気分にさせてくれる。その上、 "Overnight Sensation" や "Reach For The Sky" といった熱いハードロックを聴かせてくれるのだからこれ以上求めるものは何もない。楽曲の素晴らしさ、熱いプレイ、オーディエンスの盛り上がりのどれをとっても彼らが実質上のヘッドライナーだったのは間違いない。


TNT
Morty Black 脱退、 Tony Harnell は STARBREAKER 始動と本家 TNT はまた袂を分かつことになるのかとの危惧もあったのだが、最新作 "MY RELIGION" 発表以降、ヨーロッパではこまめにライブを行っている上に、既に新作にも着手してるということなのでこちらはこちらで継続していくのだろう。そしてイギリス公演は1980年代以降10数年ぶりになるらしい(って、そんなのばっかだな)。 TNT というと北欧美旋律というイメージが強いがライブになると結構下品。 Tony Harnell はハイトーンはしっかり出せるもののスタジオ音源に比べると荒々しくシャウトしまくり、 Ronnie Le Tekro はコーラス取る時以外は終始口開けながらアクメ顔でよくわからないフレーズ弾きまくりのキ○ガイ状態。美旋律という彼らのクリーンなイメージはリスナーが勝手に抱いている幻想なだけで、このバンドの本質はこの下品でワイルドなロックバンドという部分にあるのだろう。個人的にはこの下品さが気に入った。

セットリストは 3rd, 4th を中心に聴かせるべき曲は押さえつつも "Downhill Racer" や "Listen To Your Heart" といった意外な曲もチョイス。最新作の曲も気持ちよく跳ねるギターリフとキャッチーなコーラスがライブ映えしており、スタジオ音源よりも好印象。久々のイギリスでのライブという割にはオーディエンスの盛り上がりは今一つな感じはしたが、終盤でプレイされた "Intuition", "10,000 Lovers" では盛り上がりを見せた辺りにヨーロッパのリスナーが TNT に求めているものが日本人と差ほど変わらないのだなという印象を受けた。しかし聴かせるべき曲はプレイしてるのにどこか突き放した意地悪さがあるというか TNT はやっぱりヒネクレてる。 FIREHOUSE のフレンドリーなステージを観た後のせいかより一層そう感じた感もあるが、この一筋縄で行かないヒネクレ加減が彼らのロックバンドとしての個性を支えているのかもしれない。生で観て改めてそれを実感した。


SOUL SIRKUS
思えば 2002 年はソロとして、2003年は TALISMAN で Jeff Scott Soto のライブを体験しているが、今回はあの Neal Schon と同じバンドのメンバーとして間近で観られるというのだから何とも贅沢は話だ。また、ヨーロッパのファンとしては長きに渡り JOURNEY がヨーロッパを訪れていないこともあり、同じような期待を抱いているのか、ステージが始まるのが夜中の1時を回っているというのも関わらずフロア前方には数多くのオーディエンスが詰め掛け彼らの登場を今か今かと待ちわびている。そして満を持して登場した彼らはとにかくカッコいいの一言に尽きる。 Jeff Scott Soto のショウマンシップに満ちたアクションとヴォーカルパフォーマンスが Neal Schon のハードロッカーとしての血を滾らせるのかスタジオ音源以上に熱を帯びた熱いハードロックサウンドとなってオーディエンスに迫ってくる。

序盤はデビューアルバム "WORLDS PLAY" から次々とプレイしステージは進んでいく。中盤では Neal Schon が JOURNEY のライブ同様 "Voodoo Chile" を含むギターソロを、続いて Marco Mendoza のスキャットを交えたベースソロを延々とプレイするも、恐らくこのパートだけで20分以上を費やしていたのではないだろうか。これがワンマンライブならよいのだが、フェスのヘッドライナーで時間が真夜中となると結構地獄。半日以上ぶっ通しでライブを観ていることもあり、ここで完全に集中力が切れ眠気に襲われてしまった。それは筆者に限った話ではなく、このソロタイムでオーディエンスの多くが脱落、フロアの人口がライブ開始当初の半分程度まで減ってしまった。

そんな地獄のソロタイムも終わり、 Jeff Scott Soto のソロタイムではピアノ弾き語りで "Purple Rain" (PRICE), "Send Her My Love" (JOURNEY), Bohemian Rhapsody (QUEEN) と素晴らしい歌唱を披露。Jeff のソロタイムラストからバンドが登場、 "Faithfully" (JOURNEY) のギターソロへ流れていく展開は感動的でここでなんとか息を吹き返した。以降は TALISMAN でもプレイしていた SEAL の "Crazy" を挟み再び SOUL SIRKUS のレパートリーに戻り、ラストに "Peephole" をアグレッシヴにプレイし100分にも及ぶライブは終了。内容自体は期待通りの素晴らしいライブであったが真夜中に登場するヘッドライナーがフルのショウを展開されると観る側としてはさすがに厳しい。とはいえ、 FIREHOUSE, TNT を立て続けに観た後で Neal Schon を間近で観られるなどという体験はそうはできることでもなく、結果的には十分過ぎるほどの満足度と心地良い疲労感を残し FIREFEST 2005 は幕を閉じた。

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