THE GODS 2001 観戦記 - 2001.11.04 Live Report

HYSTERIA
イギリス出身でこのバンド名とくれば DEF LEPPARD を想像してしまうが、実際にやっていることは大雑把に言えば初期 QUEENSRYCHE 系の正統派メタルだったというこの HYSTERIA は何故か始まって数曲の間中客電がついたままプレイする羽目になっていたが、1曲目にプレイされたアップテンポの曲がなかなか良い曲で、この曲をプレイし始めた途端にフロアに詰め掛けるファンがいくつか見受けられた。

しかしそれ以降にプレイされたオリジナル曲に関してはやりたいことはわかるのだけど、まだアイデアが未整理のままの冗長な曲が多いような気がした。実際、フロアの詰め掛けたファンの興味を引き付けておくことを出来なかったようで、始まって数十分経つ頃にはフロアを後する人が目立っていたように思う。終盤には WHITESNAKE の "Here I Go Again", GARY MOORE の "Out In The Fields" のカヴァーがプレイされたが、前者は完全に選曲ミスでまるでハマっていなかったが、後者はなかなかカッコ良くプレイされていた。現時点ではまだまだという印象のバンドだったが、1曲目のような良い曲を書ける才能はあるようだし、演奏力を含めたバンド自体のポテンシャルはそれなりに高そうなものを持っていそうなので、とりあえずバンド名ぐらいは覚えておいて損はないと思う。


91 SUITE
良くも悪くも色んな意味で期待通りだったバンド。まずステージに登場したメンバーの姿にガッカリ。まるで高校生が文化祭でライブ出演するためにバンド全員でユニクロまで買いに行ったみたいな衣装は、その辺のフロアを歩いていてもミュージシャンだかファンなんだかわからないほどロックミュージシャン特有のオーラなどとは無縁の世界といった感じ。しかも6人編成の大所帯にも関わらず狭いステージが広く感じられるほどのこじんまりとしたステージング。明らかにバックの音に負けている部分の目立つ声量不足のヴォーカル。1曲ごとに「次の曲は~」と入れてしまう歯切れの悪いライブ進行。

と、これだけ書くとまるでダメだったみたいだが、リハーサルは入念にこなしているようで、そのヴォーカルを含めた演奏そのものは非常にしっかりしているために充分楽しめたし、このライブの時点では日本以外ではアルバムが出ていなかったにも関わらずその甘く切ないメロディを持った古典的ハードロックの数々はなかなか好評を得ていた。

なんか酷評しているみたいだが、まだ若い世代のミュージシャンが自分たちの本当にやりたい音楽を不器用ながらも一生懸命かつ楽しそうにプレイしている様はアルバム同様に目新しさはなくとも新鮮に映ったし、実際に聴いていて非常に心地よかったのもまた事実。上に挙げたマイナス点にしても経験さえ積めば改善出来る問題だと思う。なんだかんだ言っても今の自分にとって重要度の高いバンドであることは間違いないだけに、こちらが最低限求めているレベルはしっかりクリア出来ていることは確認できたし、観終った後には「いいもの観せてもらったなぁ」と思えるライブだった。


LOST WEEKEND
昨年はトラブルのせいで実力を発揮できなかった感のあったこのバンドは、この1年の間に専任のキーボーディストを加入させたようで、音の面でもステージの見栄えの面でもグレードアップしていたというのが一番の印象。っていうか、正直言ってそれ以外に殆ど何にも覚えてないです。


HUSH
キーボードのトラブルで予定時間より大幅に遅れてようやく始まった彼らのライブはプレイした曲はある程度覚えているものの、これといって印象に残るものが無かったというのが正直なところ。新作から "In My Dreams " とオープニング向きとは思えない曲に始まり、開始前のキーボードのトラブルの引き摺ったままでシーケンサーのプログラムに問題があったのか1曲ごとに妙な間が空いてしまうなどといったように、あらゆる点においてライブの進行も歯切れの悪いものになっていた。

ただ、プレイそのものは悪くなく、個人的に新作の中では特に気に入ってる "Tell Me Become The Sun" での情感溢れる歌唱は満喫できたし、恐らく多くのファンが求めていたであろう "The Restless Ones", "Don't Say Goodnight" はやっぱりカッコ良かったということで、個別の楽曲に関してはそんなに悪い印象はないものの、トータルで考えると今ひとつだったと言わざるを得ない。トラブルはしょうがないとはいえ、新作「 II 」にはライブ向きの曲が多数あったのでそれなりに期待していただけに少々残念な結果に終わってしまった。


PANGEA
諸事情によりこのバンドに関しては最後の方しか観てないのだけど、ただ突っ立ったまま黙々とプレイする上にライティングも暗めだったこともあり見た目に関しては異様に地味だったように思う。しかし音の方は非常にタイトかつパワフルと見た目とのギャップが大きいのがなんとなく笑えた。やはりこういったタイトな演奏を聴かせるバンドはミュージシャン受けがいいのか、 EMERALD RAIN の面々がフロア前方で食い入るように観ていたのがなんとも印象的でした。出来ることなら最初から観ておきたかっただけにちょっと心残り。もしかして観てなかった間に 1st 収録の名曲 "Time Out" はプレイされたのかなぁ?


MITCH MALLOY
初日にプレイしたテリー・ブロックもそうなんだけど、 GODS ソロ名義で出演するアーティストの大半は競演する若手バンドをバックに従えた急造のバンド形態でプレイすることが多い。そのテリー・ブロックにしても彼の歌を満喫できるという意味では素晴らしい内容ではあったけれども、やはりバンドとしてのまとまりのある演奏という意味では少々物足りなかったのも事実。このミッチ・マロイに関しても GODS 出演前に自己のバンドを従えて3週間ほどスペイン・イギリス等をツアーを行っているということは事前に聞いてはいたものの、所詮はソロアーティストのライブということで、バンド云々ではなくあくまで歌を聴くことを目的としてそのステージに挑むことにした。

しかし始まって数曲でその認識をあっさり覆されてしまった。やはり3週間に渡って連日ツアーしてきただけあって、バンドの演奏は非常にタイトかつ安定したライブならではのグルーヴを生み出し、その上に乗るミッチ・マロイの歌は素晴らしいことは当然ながら華のあるロッカー然とした振る舞いが非常に格好良くステージ栄えしていた。彼の最新作「 SHINE 」にはいかにもライブ栄えしそうな爽快かつノリの良い曲が多数収録されていたが、それらはバンドによる熱い演奏によってスタジオテイク以上の魅力を放ち、その楽曲に魅せられたオーディエンスが熱い歓声でもってバンドに応えるというプレイする側と観る側が一体となった素晴らしいステージは時間が経つのを忘れさせ、本編最後の "Forever" が終わる頃には「えっ、もう終わりなの?」と思えるほどアッという間に過ぎていった。

ここまで盛り上がったとなると当然ながらオーディエンスはアンコールを要求。再びステージに戻ったバンドは前日に NEXX がカヴァーした "Anything At All" をエネルギッシュにプレイし約60分のライブは終了。正直言って今まではミッチ・マロイというアーティストに対して良い楽曲を持つソロシンガー程度の認識しかなかったのだが、ここまで観る者を魅了するライブを観せてくれるアーティストだとは思っていなかった。このようにアーティストに対する認識をも簡単に覆してしまうのがライブの醍醐味であると改めて実感させられた。っていうか、このライブを観てすっかりミッチ・マロイのファンになっちゃいました(笑)。


BOB CATLEY
来年の MAGNUM 再結成を控え、今回のライブをもってソロ活動はしばらく休止するとあって気合が入っていたのかボブ・カトレイのライブはミッチ・マロイ以上の盛り上がりを見せた。ボブ・カトレイのステージでの圧倒的な存在感は単に歌がお上手なオジ様というだけに終わらず、全身を駆使して繰り出されるアクションでもって、ただでさえ大仰な楽曲をさらにドラマティックにしてしまう脅威のステージングに目が釘付けになってしまった。またオーディエンスも楽曲をよく聴き込んでいて、まるでボブ・カトレイがアイコンタクトを送るかのようにフロアに視線を向けるとステージから要求がなくとも自然に手拍子が沸き起こるといったように会場全体の統制も見事に取れており、オーディエンスの一人でしかない自分もライブの一部になっているんだということを強く実感させられた。

セットリストは3枚のソロからバランスよく選曲されていたが、やはりソロ活動をしばらく休止することもあってなのか、本編最後でちょっとした隠し玉があった。ライブも終盤を迎えた時に GODS の主催者や関係者への礼を述べた後で、彼のソロ活動のブレインであるゲイリー・ヒューズへの賛辞を述べた後で本編最後の曲としてなんと TEN の名曲 "After The love Has Gone" がプレイされた。当然ながら会場にはこの曲を知らないファンはいるはずがなく、この曲での熱狂振りは凄まじいものがあった。楽曲的にも元々ボブ・カトレイのソロアルバムの楽曲は全てゲイリー・ヒューズが書いていることもあって、中にはゲイリー・ヒューズが歌えば TEN そのものになってしまうものもあるぐらいなので、ボブ・カトレイが TEN の曲を歌ってもまったく違和感がないのだが、やはりストーリテラーと言われるだけあって、同じメロディを歌うにしてもボブ・カトレイの世界になってしまうのだから凄いとしか言いようがない。

アンコールでは映画のエンディングにごときドラマを聴かせる "Fear Of The Dark" をこれでもかというほど劇的に歌い上げて約80分のライブは終わった。正直今まで MAGNUM が何故本国やドイツであれだけ絶大な支持を得ているのかわからなかったのだが、今回のライブを観てその疑問も解決した。ボブ・カトレイのステージでの存在感はもはや好き嫌いなどを超越した観る者を釘付けにする、まさ「魅せる」という表現が適切な華がある。この先 MAGNUM でもソロでもどちらでも構わないが、彼が音楽活動を続けているうちに一度はここ日本でもその華のある圧倒的なステージを見せてもらいたい。


JOHN WETTON
当日になってまさかのキャンセル。しかもキャンセルに対するステートメントも一切発表していないとあっては、いくら急遽決まった出演とはいえ、プロのすることとは到底思えない。ここ日本ではアルバムを出せば自己の公演で来日し、他のアーティストのライブへもゲスト出演したりと頻繁に観られる機会があるが、イギリスのファンにとって彼のライブを観る機会が滅多になく、ようやく観られるということで楽しみにして会場に足を運んだファンも多く存在したと聞く。海外の掲示板等では「彼にとって日本で金稼ぎすることが全てだ!!」なんて意見も目にしたが、そう言われても弁解の余地もないだろう。正直言って失望した。


JOURNEY TRIBUTE
本来ならフェスティヴァルのトリがこのようなカヴァーバンドというのは反則かもしれないが、主催者側も "Party Time!!" と言い切っていたし、今回のようにヘッドライナーの相次ぐキャンセルという事態もあったのだからこればかりはどうこう言ってもしょうがないので割り切って楽しむことにした。

その主役となる URBAN TALE がステージに登場し、 "Seperate Ways" のイントロが響いた瞬間大歓声が湧き上がる。そして肝心のプレイに関してはやはり JOURNEY のカヴァーバンドから次第にオリジナル曲をプレイするバンドに発展していったというだけあって、単なるカヴァーバンドではなく本当の意味でのトリビュートバンドと呼ぶに相応しく、その JOURNEY に敬意を表した丁寧なプレイは聴いていて本当に楽しかった。そしてプレイする側だけでなく聴く側の全ての者が心の底から JOURNEY を愛していることがよくわかる熱狂振りでもってバンドの熱演に応えていたのが一リスナーとして楽しくもあり嬉しくもあった。

選曲的には若いバンドだけに「 ESCAPE 」以降の楽曲が大半を占めていたが、オリジナルアルバムにこそ収録されていないものの、ライブでの重要なレパートリーになっている "Only The Young" などもしっかりプレイしている辺りは「本当によくわかっていらっしゃる」と言いたくなる。そしてパーティーに相応しくヴォーカルとして数人のゲストがステージに上がった。まずは NEXX のパトリシアが登場し "Send Her My Love" を女性らしくしっとりと歌い上げ、オリジナルとは一味違う素晴らしい歌唱を聴かせてくれた。二人目には HYSTERIA のヴォーカルが "Don't Stop Believin'" を歌ったが、これは完全に人選ミス。この曲は出来れば URBAN TALE の kimmo に歌って欲しかった。そして最後のゲストとしてテリー・ブロックが "Lights", "Faithfully", "Anyway You Want It" の3曲を披露。テリー・ブロックが JOURNEY TRIBUTE で歌うと聴いた時から「出来たら "Faithfully" が聴きたいなぁ」と思っていただけにそのソウルフルな歌唱を目の前で観ることが出来て本当に嬉しかった。

アンコールで再びステージに姿を表した URBAN TALE の面々はいきなりフィンランドの民謡と思わしき曲をプレイし始めたかと思えば間髪入れずに "Wheels In The Sky" に流れていくというちょっとした遊び心がアンコールならではのアットホームなムードを生み出したのも良かった。こういったユーモアセンスもライブバンドとしての強みがあるからこそ出来るものなのかもしれない。続いては開放感溢れる "Escape" でアンコールは終了。2度目のアンコールでは URBAN TALE の面々に加え、ボブ・カトレイ、テリー・ブロック、ダレン・スミスも登場し "Lovin' Touchin' Squeezin'" を和やかにプレイしライブは終了。

と、なるはずがバンドがステージを後にしても歓声は鳴り止まずそれに応え再度登場したバンドは「 Trial By Fire 」収録の名バラード "When You Love A Woman" というちょっと意外な曲をプレイ。こんな新しめの曲までレパートリーにしていることも驚きだったが、この意外な選曲にはオーディエンスにやられたという感じだったのか、さっきまでの熱狂振りは何処へ行ったのかと思えるぐらいじっくり聴き入っていたが、曲が終了するや否やバンドの熱演に大歓声で応え、素晴らしいエンディングを迎えTHE GODS 2001 はその幕を閉じた。

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