THE GODS 2003 観戦記 - 2003.05.24 Live Report

RAIN
当初出演予定であった ON THE RISE のキャンセルに伴い、代役として出演することになったのが THE GODS 1998 に前身バンド RAINMAKER として出演した経歴を持つアメリカ出身のメロディアスハードロック RAINE である。さすがにトップバッターということでフロアに集まったファンの数はそう多くはなかったが、プレイの面に関してはリズム隊は躍動感溢れるビートを叩き出し、ヴォーカルもデビューアルバム「 PIECE 」で聴かせてくれた伸びやかなハイトーンは控えめではあるものの、中音域を主体にしっかりとした歌を聴かせるなど、ライブバンドとしてのポテンシャルは発揮していたように思う。

しかし、今回のライブでプレイされたのはまもなくリリースされるという新作「 EXTRAORDINARY LIFE 」からの新曲が大半を占めていたようで、私を含めたオーディエンスの大半が楽曲を知らなかったということもあり、これといった盛り上がりをみせることはなかった。仮に知らない曲であってもその曲自体に魅力があればもう少しオーディエンスの興味を自分たちに引き寄せることも出来たのではないかと思うのだが、結局のところ楽曲の魅力の乏しさが盛り上がりを生み出せなかった最大の要因であるように思う。プレイの面に関しては問題ないのだから、出来れば新曲を控えめにしてデビューアルバムからの曲を増やせばもう少し印象も違っただろうにと思うと少々残念な結果に終わってしまったと言えなくもない。


PRIDE
デビューアルバム「 FAR FROM THE EDGE 」で彼らに惚れ込んで以来、遂に彼らのライブが観られるということに加え、既に海外のサイト等ではライブバンドとして高い評価を得ていたこともあり、その期待度も相当なもので普段は割と後ろの方でゆっくりライブを観る人間にも関わらず最前列を陣取り彼らのライブに挑むことにした。

場内が暗転しメンバーが登場した時点で Ivan Gunn がいないことに気が付いた。もしかして脱退してしまったのか?と思ったのだが、終演後にメンバーに確認したところ、 Ivan Gunn はバンドのブレインではあるがライブには参加しないということで脱退はしていないと聞き安心した。

それはさておき、ライブは「 FAR FROM THE EDGE 」のオープニングトラック "This Time" で幕を開けたが、前評判通りプレイの面は非常に安定している。各メンバーともただ突っ立って黙々と自分のパートをこなすだけに終わらずにしっかりと動き回りそのステージをよりアクティヴなものにしていた。ヴォーカルの Matt Mitchel はその歌声をライブにおいてより魅力的に聴かせることのできる実力者である上にルックスが非常によく、そのロッカー然とした華やかなステージングはライブにおけるバンドのヴィジュアル面の強力な武器になっているように思う。そしてバンドのもう一人の主役の Chris Green のギタープレイに関してはアルバム通りの正に流麗と呼ぶに相応しい滑らかなフィンガリングとピッキングで華麗なフレーズを紡ぎ出しており、ヴィジュアル面においても Matt の華やかさとは対照的に落ち着いた佇まいでバンドの屋台骨を支えているといった感じで、この2人がバンドの核を成していると言って間違いないだろう。勿論他のメンバーにしても己のプレイを堅実にこなすだけに留まらず、しっかりコーラスを取れるなど、バンドとしての纏まりを見せていた点にも触れなくてはならないだろう。

選曲的には新作 "SIGNS OF PURITY" リリース直前ではあったが、 敢えて新作からの曲は2曲に抑え、後は全て 1st からの曲で占められていたが、フェスティヴァルという性質上、オーディエンスに馴染みにある曲を中心に据えたのは正解であったと思う。中でも 1st のハイライトチューンの一つである "Hold On" は楽曲の持つドラマ性にライブならではのダイナミックさが加わりショウにおいてもハイライトになっていたと思う。また、新曲にしても 1st の延長線上にある爽快なポップチューン "Say Your Not Lonely", 静から動へと劇的な展開を持つバラード "Still Raining" と双方ともプレイの素晴らしさもさることながら、楽曲としても非常に魅力的であり、新作への期待も十分に高まった。

ライブはエッジの効いた爽快ハードチューン "Who You Gonna Love" で幕を閉じたが、名曲 "Hands Of A Healer" も聴きたかったし、新曲にしてももう2曲くらいあっても良かったのではないかなどと色々注文をつけたくなるというか、たった40分程度では逆に物足りなさを感じるほど素晴らしいライブだった。毎年 GODS には必ず観る者を驚かせるバンドがいると言われるが今年は彼らがその驚くべき存在であったといって間違いないだろう。彼らはファンジン "FIREWORKS" に GODS 出演に向けて「俺たちは本当に凄いライブバンドだ!」とコメントを残していたが、その言葉に偽りはなかった。個人的には DARE, STAN BUSH といったベテラン勢を差し置いても初日のベストパフォーマンスには彼らを挙げたい。本当に素晴らしいバンドだ。


LOST WEEKEND
見てません。


URBAN TALE
2001年の GODS でのライブバンドとしての素晴らしいライブを既に体験済であった上に 2nd アルバム "SIGNS OF TIMES" の内容の素晴らしさもあって今回の彼らのライブには並々ならぬ期待を抱いていた。ライブは "SIGNS OF TIMES" のオープニングを飾る "Starship Of Giants" で幕を開けたが、この時点では音のバランスが非常に悪く、特にヴォーカルが殆ど聴こえないといった感じであった。とはいえ、音のバランスに関してはライブが進むにつれ改善されていたので結果的には大きな問題にはならなかった。

しかし、個人的にはヴォーカルの Kimmo Blom のパフォーマンスに大きな疑問を感じた。2001 年の GODS ではエネルギッシュに動き回ったりオーディエンスを煽ったりとフロントマンとしてのショウマンシップを発揮していたが、今回はステージに登場した時点でサングラスをかけ、マイクスタンドの前で突っ立って上を見上げながらただ歌っているだけであった。ライブ開始直後は最初だろうから、進むにつれステージ間を動いたりオーディエンスとのコミュニケーションも図るであろうと楽観視していたのだが、いくらライブが進もうが一向にその気配は見られなかった。中でも中盤でプレイされた "Dris Day", "Open Your Heart" では多くのオーディエンスが飛び跳ねるほどの盛り上がりを見せているにも関わらずフロアに目を向けることもなく、上を見上げながらただ歌っているだけの姿には苛立ちさえ感じてしまった。

確かにプレイ面に関してはバンドとしての一体感を伴っていたし、選曲的にも 1st, 2nd からプレイすべき曲はほぼ網羅していたりと、音だけ聴く分には決して悪い内容ではなかった。しかし、バンドとしてみた時にただ突っ立って歌っているだけの Kimmo Blom と他のメンバーに大きな溝を感じられたのは否定できない。かつてあれだけの素晴らしいライブを見せてくれたバンドだけに、見限るようなことをするつもりはないが、今回に関して言えばただアルバム通りの音を再現してるだけという以上の感情が湧き上がることはなく、むしろ苛立ちや失望の方が遥かに大きい後味の悪い内容であったと言わざるを得ない。


GRAND ILLUSION
このバンドに関しては前身バンドの PROMOTION 時代から数え約10年振りとなるライブ活動再開の最初のライブが今回の GODS でのステージであるということに加え、アルバムでの装飾過多とも言えるあの音をどこまで再現出来るのかと実際にこの目で見るまでは期待と不安が入り混じっていた。そのライブの内容はといえば、プレイに関しては思っていたよりはしっかりしてはいるものの、はっきり言ってかなり粗めで、リズムにしてもアルバムに比べると全体的に走り気味。とはいえ、コーラスハーモニーにしてもアルバムのイメージを崩さない程度に再現は出来ていたし、 GRAND ILLUSION としては初ライブということを考えればまあ悪くはないなといった感じで、曲自体はどの曲も良いし、アルバム "VIEW FROM THE TOP" リリース当時に多くの自称メロディ派の方々から総スカンを食らった "Who's It Gonna Be?" はライブならではの勢いが加り、なかなか魅力的な曲になっていたりと、ライブアクトとしての可能性は汲み取ることが出来た。

そして個人的には中盤で HEARTLAND の "Chris Ousey" が登場し、 "Battle For Your Heart" と HEARTLAND の"Imagine My Suprise" の2曲で自慢の GOD VOICE を披露した瞬間が彼らのライブにおけるハイライトだった。まさに今目の前で生クリスを見ていると思うだけで 笑いが止まらない 感動という名の激流に飲まれてしまい何度も意識が遠のきそうになった。クセの強すぎる声質や3パターンしかない貧弱な歌いまわしやメロディメイカーとしての才能のなさは置いておいたとしても、生声を聴きさえすれば印象も変わるかもしれないという淡い期待がないわけではなかったのだが、これが想像以上にショボい。声量も思っていたほどない上にまるで江頭2:50のような怪しい動きが見ていて笑いを誘うといった感じで違った意味で印象的だったなと。今まで HEARTLAND もライブさえ観れば印象変わるかもと思っていたのだが、今回のライブを観てそれは未来永劫絶対に有り得ないなと確信した。やっぱりネタハーはどう転ぼうとネタハーってことなのね・・・


DARE
現在、新作 "BENEATH THE SHINING WATER" と題された新作を製作中と伝えられていた彼らだが、そのレコーディングを一旦中断しての出演とあって、その新作からの新曲をいち早く聴けると期待していたのだが、残念ながら MC で新作について語ってはいたものの、新曲がプレイされることはなかった。

しかし、ライブの内容自体は2001年の GODS で味わったあの感動が再び蘇る DARE ならではの叙情世界に浸ることの出来る素晴らしい内容だった。やはり長い活動歴を持つバンドだけにそれまでに登場した他のバンドとの格の違いは明白であり、プレイだけに限らず、ステージ運びやオーディエンスの統率力といった面でもまさにプロフェッショナルと呼ぶに相応しいショウを披露した。選曲には基本的には2001年と大きな変化はなかったものの、 1st から "Raindance", 3rd から "Walk On Water", 4th から名バラード "We Were Friends" と前回聴くことの出来なかった曲が新たに追加されていたこともあり、90分という時間の中にファンが聴きたいであろう曲を凝縮した前回以上に充実したセットリストであったといえるだろう。中でも "We Were Friends" における Andy Moore の泣きのギターは素晴らしく、暖かみを帯びた美しいフレーズの数々は現在の DARE の叙情性を実現する上で欠かせない要素であることを改めて実感させられ、ショウにおけるハイライトになっていたと思う。

確かに新曲が聴けなかったことは残念ではあるが、個人的には大好きな "Raindance" や "We Were Friends" 聴けたということもあるが、 "Abondan" や "King Of Spades" を始めとする名曲の数々を目の前で最高のプレイで聴かせてもらえたというだけでも幸せすぎるほどであり、「やっぱり DARE は最高だ」と心の底から思える素晴らしいライブだった。


STAN BUSH
当初、初日のヘッドライナーは DARE であったのだが、当日になって会場に張られていたタイムテーブルを見るとヘッドライナーは STAN BUSH に入れ替えられていた。個人的な憶測の域は出ないが、昨年と同様に実質的なヘッドライナーはトリ前に登場させ、ヘッドライナーはどちらかというとセッション大会的な意味合いがあるのではないかと思う。その STAN BUSH にしてもバックバンドは翌日出演する TALON をバックに従えた悪く言えば急造のバンドであり、冷静に考えればそんな実体のないバンドをヘッドライナーに持って来ること自体に無理があることは明白であり、この順番の入れ替えは賢明な判断であったと思う。

そういった意味ではバンドとしては TALON の面々も自己の個性を抑え、与えられた曲を無難にプレイしているといった印象ではあったが、今回の主役はあくまで STAN BUSH であるのだからそれで正解であると思う。肝心の内容の方はといえば、 "STAN BUSH AND BARRAGE" 名義の2枚と最新作 "LANGUAGE OF HEART" の曲を中心にプレイしていたが、バンドとしての纏まりに欠けるというマイナス面はあったものの、あの STAN BUSH の歌声を目の前で聴いているというだけでも楽しすぎるほどであった。中でも名バラード "Love Don't Lie" における熱唱は本当に素晴らしく、楽曲の良さだけでなく、彼の熱い歌唱があって初めて本当の意味での名曲になっているのだと再確認した。その他にも "Primitive Lover" や "Gates Of Paradise" などまさか生きている間に聴けると思っていなかった名曲の数々が次々に飛び出し、アンコールの "All American Boy" までの1時間強はあっという間に過ぎてしまうほどの楽しさを存分に味わせてもらい、 GODS 初日は幕を閉じた。

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