Label : MARQUEE-INC. | Cat-No. : MICP-10390 | Release Date : 2003.09.21
1. Dream Real 2. Live And Let Live 3. I'll Be Moving On 4. All Of My Dreams 5. I'm Not With You 6. Man On A Mission 7. Eden 8. Land Without Justice 9. Out There 10. Dreams Are Free 11. Along The Way * 12. Sweet Babylon 13. You Can't Burn My Heart Out
* : Japanese Bonus Track
元 FAIR WARNING の Helge Engelke 率いるメロディアス・ハードロックバンドの 2nd 。音楽性に関しては前作と同一路線にあるが、前作が FAIR WARNING 解散以降 Helge が暖めていたアイデアを身近にいたミュージシャンを起用してレコーディングしたといったある種ソロプロジェクト的な色合いが強かったのに対して、今作ではソングライティングを開始する時点で活動を共にするミュージシャンがいることを想定して曲作りが成されているのか、プレイ、アレンジを含め全体的によりバンドサウンドとして纏まりを見せている。また、前作では与えられたメロディを歌っているだけとの印象の強かった Olaf Senkbeil の歌唱に関しては未だその個性を活かせているとは言い難いものの、低・中音域に関しては以前に比べるとよりスムーズに声を出せるようになっているように思う。
楽曲のクオリティに関しては飛躍的に向上はしていないものの、1曲ごとの練り込み具合という点においては相変わらず高い水準を維持している。中でも幾層にも折り重ねられた美しいメロディをドラマティックに聴かせる "Live And Let Live", 東洋的なメロディを動きの多いモダンなグルーヴに乗せて聴かせる "Eden" のような名曲と呼んで差し支えのないレベルの楽曲を収めている点も流石といえよう。しかし、1曲毎に取り出して聴く分には質の高さに納得できるものの、どの曲も音程の高低差が少なかったりテンポが似通っていたりとアルバム一枚を通して聴くと単調に聴こえなくもない。仮に似たようなテンポ、キーの曲が多いにしても歌いまわしで抑揚をつけるなど各曲毎の差別化はできると思うのだが、それが出来ていない辺りに Helge の思い描く世界観と Olaf の表現者としての資質という二つのベクトルが未だ同じ方向に向かっていないことが顕著に表れているのではないだろうか。また、後半以降楽曲のクオリティ自体が若干落ちてしまうため、アルバム一枚を聴き終えるまで集中力が持続しないというのも印象を悪くする要因になっている。
個人的にこの作品を総評すると相変わらず質の高さは認めるものの、作品としては前作と比較しても方向性、クオリティともに大きな開きはないがそれ以上でもないといったところか。また、前作発表以降、予定されていたツアーが中止となり、それ以降レコーディング開始までの期間にバンドとして機能していなかったことを考えると、そのような状況が続くのであれば DREAMTIDE として作れる作品のレベルとしては前作及び今作が目一杯という気がしないでもない。それ故に今作に伴うライブ活動が行えるか否かで本当の意味でのバンドになれるか、それとも単なるスタジオレコーディングプロジェクトのまま終わるのかが決まるような気がする。そういう意味においてはバンドにとって今が正念場なのかもしれない。
Score : 7 / 10