Label : AOR HEAVEN | Cat-No. : - | Release Date : 2002.10.01
1. Criticize The Truth 2. Trust Vs. Heart 3. Different Worlds - Different Times 4. Like Never Before 5. Frozen In Time 6. Fool痴 Gold 7. In The Beginning There Was Fire 8. Spend The Top With Me 9. Perfect Love 10. Heavy Heart Betrayed
FRONTILINE のギタリスト Robby Boebel, ベーシスト Thomas Bauer, 再結成 DOMAIN のシンガー Carsten Schulz, SHAKRA のドラマー Roger Tanner というドイツ/スイスのハードロックバンドのメンバーによるプロジェクトのデビューアルバム。
音楽性は中心人物が Robby Boebel というだけあって、 FRONTLINE のアルバムにおけるマイナー調の叙情的な楽曲に焦点を絞ったといった趣のメロディアスなハードロックになっている。ただし、 FRONTLINE に比べるとギターにより重点を置いた音作りが成されており、ハードエッジなヘヴィリフの上にメロディアスなオブリガートを重ねるなど、幾層にも重ねられたギターサウンドによって肉厚なハードロックサウンドを生み出している。 FRONTLINE ではギターソロも楽曲の一部として機能しているメロディアスなある意味控えめなプレイが多いのに対し、このプロジェクトではタッピングなどを駆使したテクニカルなプレイを聴かせる場面も多く、そういったテクニカルなギタープレイを導入することで、よりハードロックらしいサウンドになっている点も特色の一つだといえるだろう。また、 Carsten Schulz のヴォーカルは DOMAIN ではバンドの方向性に今一つ合っていないように聞こえる場面も少なくないのだが、それに比べると自分の得意とする音域を中心にヴォーカルメロディを組み立てていることもあり、楽曲の持つ叙情性を上手く引き出している。正直に言うと DOMAIN での歌唱を聴く限りではここまでしっかり歌えるシンガーだとは思っていなかっただけに少々意外だった。
楽曲的には全てマイナー調の曲で統一されているが、バラード調に始まり、一転してアップテンポに展開する "Trust Vs. Heart", ゲイリー・ムーアの名曲 "Out In The Fields" を彷彿させるスピードチューン "Like Never Before", アルバム中最も叙情的な "Fools Gold", 哀愁に満ちたサビメロが印象的な "Spend The Top With Me" など、特定の方向性の中で多彩かつ魅力的な楽曲を多数用意しているため、画一的と感じられる場面はなく、むしろ JADED HEART や CRYSTAL BALL マイナー調の楽曲を中心としたエッジの効いた欧州産ハードロックが好みの人にとってはかなり楽しめるのではないかと思う。
正直に言うと FRONTLINE の最新作は質は高いものの、少々煮詰まり気味というのは否定できなかったと思うし、再結成以降の DOMAIN も悪くはないけど・・・というレベルであったために、個人的にはこちらのアルバムの方に魅力を感じてしまった。2003年1月には SAXON, NOCTURNAL RITES とのツアーも控えているということなので、是非ともそのツアーでの経験を生かし、今後もパーマネントなバンドとして活動に期待したい。
Score : 8 /10