GARY HUGHES - Once and Future King Part 1 & 2

PART 1 Label : MARQUEE-INC. | Cat-No. : MICP-10379 | Release Date : 2003.07.23
PART 2 Label : MARQUEE-INC. | Cat-No. : MICP-10393 | Release Date : 2003.09.21

GARY HUGHES - Once and Future King Part 11. Excalibur 2. Dragon Island Cathedral 3. At The End Of The Day 4. The Reason Why 5. Shapeshifter 6. King For A Day 7. Avalon 8. Sinner 9. In Flames 10. Lies


GARY HUGHES - Once and Future King Part 21. Kill The King 2. There By The Grace Of The Gods (Go I) 3. I Still Love You (I Still Do) 4. Oceans Of Tears 5. Rise From The Shadows 6. Believe Enough To Fight 7. The Hard Way 8. The Pagan Dream 9. Demon Down 10. Deius (Instrumental) 11. Without You 12. Once And Future King

以前よりインタビュー等で語られてきた Gary Hughes 総指揮によるロックオペラ作品が遂にその全貌を表した。アルバムは2枚組みではなく2章に分かれた2枚のアルバムとして構成されている。また、ソロ名義ではあるものの、ロックオペラらしく Bob Catley のような彼に由縁の深い人物をはじめとして、様々なヴォーカリストがそれぞれ配役を与えられ参加している。インスト陣に関しては制作期間や予算を問題からか TEN のメンバーが各パートを務めているが、各人とも Gary Hughes の思い描く世界観を再現するために持てる技能を最大限に発揮しており、政治的な理由はさておき、結果的にこの人選は正解であったと思う。中でも TEN においてまだレコーディング経験のない Chris Francis のギタープレイに関してはタメの効いたじっくり聴かせるフレーズにおけるリズム感の悪さが多少気になるものの、全体を通してなかなかよいプレイを聴かせており、彼のライブでのプレイを観ていないリスナーに向けてのお披露目と言う点においても良い機会になったと思う。

本作はロックオペラということでアーサー王伝説に基づくストーリーアルバムになっているが、一貫したストーリーが配されてはいるものの、各曲とも独立したヴォーカルオリエンテッドなハードロックソングとして確かなクオリティを備えている点はさすが Gary Hughes と言えよう。ただし、ヴォーカルに焦点を当てたロックソングが多い作風のためか、近年リリースされている他のロックオペラアルバムの大仰な作りに比べるとやや地味に聴こえるきらいもあるが、無闇に間奏曲を挟み込んだりと頭でっかちで冗長な作風に陥ることなく、例えロックオペラであろうとあくまで我を貫く辺りに彼の信念の強さが現れているとも言えるだろう。

楽曲の方向性としては TEN に通じる部分も少なくないが、よりファンタジックな要素が強いため、 TEN での音楽性を知る人間には新鮮に聴こえ、また TEN を知らないメロディックメタルファンにも十分アピールし得る作風になっている。また、作曲は全て Gary の手によるものであるが、各ゲストシンガーにはそれぞれストーリー上に登場する人物の役が与えられているが、単に雇われで与えられたメロディを歌うだけに終わらない各シンガーの個性とヴォーカルアプローチの柔軟さが場面転換の意味においても作品の世界観をより深いものにすることに貢献している点が非常に素晴らしい。この辺りに Gary のソングライターとしての才能は当然ながら、プロデューサーとしての才能を見せた結果となっている。

PART1 は全体的には物語の序盤から中盤ということもあり、楽曲のバラエティには富んでいるものの比較的メロディをじっくり聴かせる落ち着いた雰囲気の楽曲が多く収録されている。物語の主役であるアーサー王を務める Gary が TEN ではあまり聴かれない高いキーでの素晴らしい歌唱を聴かせる "Dragon Island Cathedral", ミステリアスなうねりの中で Irene Jansen が若き才能を発揮した "Shapeshifter", 荘厳な雰囲気の中 Bob Catley が 正に適任と言うべき 堂々たる歌唱を聴かせる "King For A Day", 大らか雰囲気の中 Danny Vaughn が力強い歌唱を聴かせる "Avalon", "It's All About Love" に代表される TEN のグルーヴィーな側面に Sean Harris が味わい深い歌唱で新味を加えた"Sinner" など、各シンガーとも与えられた役と場面に応じた素晴らしい歌唱を聞かせてくれるが、その中においても Gary と Lana Lane のデュエットによる悲哀に満ちたメロディが感動を誘う至高のバラード "At The End Of The Day" は一枚のアルバムとしてもストーリー全体においても最大の聴きどころになっているのは間違いないだろう。

一方 PART 2 は物語がクライマックスからエンディングに向かって盛り上がっていくのに合わせてなのか、 PART 1 とは若干作風が異なりより緊張感に溢れたロックソングが中心になっている。アップテンポかつスリリングに展開の中で D.C. Cooper が彼の今まで発表してきたどの作品よりも数段優れた素晴らしい歌唱を聴かせる "Kill The King" ( RAINBOW のカヴァーではない), Gary らしい優しさに満ちた旋律を聴かせるバラード " I Still Love You (I Still Do)", タイトル通りの大海を想起させる大らかかつポジティヴな雰囲気に中に Lana Lane の歌唱が光る "Ocean Of Tears", Sabine Edelsbacher と Bab Catley によるデュエットが悲しく胸に響く "Believe Enough To Fight", その Sabine によるオペラティックな美旋律が飛翔するアップテンポチューン "The Pagan Dream", Harry Hess が新機軸ともいえる中音域での深みのある歌唱で物語の結末を語るに相応しい雰囲気を演出した "Once And Future King" と、どの曲にしても胸に迫るメロディの数々がひたすらドラマティックに展開していく様ただ圧巻と言う以外に言葉が見つからない。

こうして音楽的な観点のみで接しても素晴らしい作品であることは間違いないのだが、ストーリーを今一度じっくりと追いながら聴くことでストーリー上のその場面において何故その曲調でそのシンガーが歌うのかといった必然性も見えてくるに違いない。そういった意味においても腰を据えて長きに渡り付き合い続けることの出来るドラマティックなハードロックアルバムの名盤であり、それを生み出した Gary Hughes という男はメロディアス・ハードロック界における至宝であることは間違いないと改めて実感させられた。

Score : 10 / 10

HMVジャパン CD DVD 書籍 音楽 ゲーム

About This Site

新譜レビューを中心にメロハーの「今」を伝えることを目的としたメロハーファンによるメロハーファンのためのメロハーサイトです。
Sorry, This site is Japanese only. If you want to contact me, please send mail to me
webmaster@melodicfrontier.com

お知らせ

MELODIC HARDROCK DISC GUIDE
2013年11月22日にディスク・ユニオン出版部門DU BOOKSより初の著書となる「メロディアス・ハードロック・ディスクガイド」を発売。厳選メロハー作品を400枚紹介。また、藤木昌生氏(BURRN!編集部)との特別対談も掲載。
全国の書店にてご注文受付中。また、以下のネット書店でもご予約いただけます。

DU BOOKS
Amazon.co,jp
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
楽天ブックス