Label : KING RECORDS | Cat-No. : KICP-929 | Release Date : 2003.05.01
1. Skin On Skin 2. Break It Down Again 3. In Make Believe 4. Love Will Come Again 5. Outta My Way 6. Friends 2 Stranger 7. Sorry 8. Trapped 9. M.O.M. 10. Wherever, Whenever, Whatever 11. Lost In Wasteland 12. Hell In Paradise 13. Time (Japanese Bonus Track)
1998年末 にリリースされた "TRUTH" に続くスタジオアルバムとしては6作目となる最新作。前作から今作までの間に HUMANIMAL なるプロジェクトでの活動を挟んでいるが、あのプロジェクトの実体は契約上の問題で TALISMAN 名義を使用できなかったというのが真相のようで音楽性自体は TALISMAN とほぼ同じであった。それ故に今作は TALISMAN 名義としては久々の作品にはなるとはいえ、音楽性に大きな変化はなく、躍動感溢れるグルーヴに熱さとクールさを同居させた TALISMAN ならではのあの音になっている。
前作では楽曲の方向性の幅を広げすぎてしまった上にカヴァーを多数収録していたこともあり各曲の出来と言う点では相変わらずの高い水準を誇っていたが、アルバム全体を通して聴いた際に少々散漫に感じられた。しかし、今作では前作での反省を活かしたのか、楽曲のクオリティはそのままにより統一感のある作品になっている。また、 Mercel Jacob の歪んだベースラインと Jeff Scott Soto のリズム感に趣を置いた独特のキャッチーさを持つメロディラインが生み出す TALISMAN ならではのオリジナリティは依然として堅持されているが、今作ではそこに粒の揃ったピッキングによる滑らかな速弾きはそのままにより多彩な表現力を身につけた Fredrik Okesson のギタープレイが彩りを加えているといった印象を受ける。前作および HUMANIMAL でプレイした Pontus Norgren のネバリの効いたギタープレイも素晴らしかったが、 Fredrik のプレイが TALISMAN としての個性の確立に一役買っていることは間違い無く、最早このバンドにとって必要不可欠な存在であるといって間違い無いだろう。
リズム感に趣を置いた独特のキャッチーさを持つ "Skin On Skin", インストパートに比重を置いた正統的ハードロックチューン "Break It Down Again", 言葉数を詰めた A メロからゆったりと流れるサビメロへの展開が印象的な "In Make Believe", 洗練されたメロディと歪んだベースラインがどこか冷めた雰囲気を生み出したメロウチューン "Love Will Come Again", テクニカルなプレイを満喫できるハイテンションなスピードチューン "Outta My Way", 彼ららしいグルーヴにモダンな要素を導入した実験的ナンバー "Friends 2 Stranger" とアルバムの幕開けから中盤まで多彩かつ質の高い曲が揃っている。続く爽やかなメロディが心地よい "Sorry" はアルバムの折り返し地点として上手く機能している。後半はシンプルな曲調に重いグルーヴが映える "Trapped" に始まり、抑揚の効いたリズムパターンに洗練されたメロディが乗る "M.O.M.", 哀愁に満ちたメロディを聴かせるポップチューン "Wherever, Whenever, Whatever", アルバム中異色のメタリックな感触を持つ "Lost In Wasteland", ダークかつドラマティックなスローチューン "Hell In Paradise" でアルバムは幕を閉じる。日本盤にはゆったりと流れるメロディが印象的な TALISMAN 流メロウバラード "Time" が収録されているが、どうしてこの曲がボーナス扱いになったのかわからないくらいのクオリティを有しており、個人的にはこの曲がアルバム中最も気に入っている。
ただ、欲を言うならば1曲で良いから決め曲と呼べるだけのインパクトを持つ曲が欲しかったと言うのが正直なところ。 "LIFE" 以降アルバムとしては安定したクオリティを保っているものの代表曲と呼べるだけのレベルの曲が出てきてないだけにその不満点だけは今作においても払拭されていない。とはいえ、何回聴いても飽きないだけのバラエティと深みを持った曲を1枚のアルバムの中にこれだけ揃えているのだから、それはあくまで贅沢な要求なのかもしれない。
Score : 9 / 10