TEN - Return to Evermore

Label : MARQUEE-INC. | Cat-No. : MICP-10444 | Release Date : 2004.06.23

1. Apparition 2. Dreamtide 3. Evermore 4. Sail Away 5. Temple Of Love 6. Even The Ghosts Cry 7. Strangers In The Night 8. Evil's On Top Of The World 9. The One 10. Lost Soul (Japanese Bonus Track) 11. Stay A While 12. Tearing My Heart Out 13. It's You I Adore

筆者がこの世で最も愛するアーティスト Gary Hughes 率いるブリティッシュ・メロディアス・ハードロックバンドの 7th 。前作 "FAR BEYOND THE WORLD" 発表直前にギタリストの Vinny Burns が脱退、その後任者である Chris Francis が加入しての初の作品となる。

その内容だが、「楽曲としては」過去の名作に比べやや聴き劣りこそするものの、壮大かつ叙情的な大作、美しいラブバラード、ポジティブなメロディが躍る爽快な曲といったように聴き手が TEN らしさと認識している要素を詰め込んだいつも通りの安心して聴ける作風になってはいる。中でも "The Name Of The Rose" と "Fear The Force" をミックスしたかのような壮大な大作 "Apparition", 悲哀に満ちた雰囲気の中一際キャッチーなメロディを聴かせる "Dreamtide" は名曲と呼ぶに相応しく、また、 "Sail Away" を始めとするバラードの数々は流石の出来ではある。他にもモダンなヘヴィネスを導入した "Tearing My Heart Out" や 70's ハードロックのグルーヴを吸収した "Lost Souls" のような曲もあり、単に過去の焼き直しに終わらない新機軸にも挑戦している。

しかし、曲としての良さは理解できるものの、アルバム全体に覇気が感じられないというか、どこか停滞感や閉塞感を感じてしまい、何度繰り返し聴いても一向に心に響いてこないは何故だろうか。前作に伴う一連の活動終了後、 Gary Hughes はロックオペラ "ONCE AND FUTURE KING" を製作、 John Halliwell はソロプロジェクト ENZIGN を始動、 Paul Hodson は BOB CATREY のソロをプロデュースした上にソロプロジェクト HODSON を始動、Steve McKenna と Greg Morgan は Danny Vaughn の UK ツアーのバックを務めるなどといったようにメンバー各自の活動に専念していた。確かに空いた時間を使って各々が自身の活動を行うのは一向に構わない。寧ろファンとしては嬉しいくらいだ。しかし、その各々の活動を経過した上で提示された作品がこれとなると果たして本当に TEN としての活動再開に熱意を持っていたのかとの疑念は拭えない。

また、新加入の Chris Francis のギタープレイに関しては楽曲に合わせた柔軟なアプローチでメロディを紡ぐことで楽曲の聴かせどころを設けるなど、それなりに健闘しているとは思うが、どこか控えめというか遠慮がちに聴こえてしまう。しかしそれにしてもギターソロに限った話であり、リズムギターに関しては与えられたフレーズをただ弾きこなしている程度にしか感じられず、そのお仕事感がアルバムの覇気のなさを助長しているように思う。確かに経験則の不足はあるかもしれないが、ここで聴かれるプレイは前任者のスタイルを模倣している以上のものは感じられず、 Chris Francis というギタリストの色がまったく見えてこない。別に Chris Francis がダメというわけではないが、やはり Gary Hughes には Vinny Burns のような与えられた役割はキチンとこなした上で自身の色で楽曲の持つ世界感に踏み込んでくるギタリストが必要なのではないだろうか。そういう意味において Chris Francis に関しては現時点では役不足と言わざるを得ない。

結論を言うと本作は絶賛するには足りないものが多過ぎ、貶すには質が高過ぎるといったところか。もしこれが凡百のアーティストの作品であったとしたならば 8 点くらいは付けても良いのだが、この世で最も愛するバンドの作品として受け止めるにはあまりにも辛過ぎるため、点数は下記のようにさせて頂きたい。前述の各メンバー、特に Gary Hughes のバンドに対する熱意に関しては筆者の憶測の域は出ないのだが、もし TEN としての活動に熱意が持てない、あるいは閉塞感を感じているのであるならば、解散とまでは言わずとも、ここで一旦活動の足を止める必要があるかもしれない。少なくとも今のような惰性で続けているように見えなくもない姿を見せられるくらいならばファンとしてはその方がまだ有り難い。最も愛するバンドに対してこの言い様はないと思われるかもしれないが、愛しているからこそ敢えて苦言を呈しておきたい。

Score : 2 / 10

HMVジャパン CD DVD 書籍 音楽 ゲーム

About This Site

新譜レビューを中心にメロハーの「今」を伝えることを目的としたメロハーファンによるメロハーファンのためのメロハーサイトです。
Sorry, This site is Japanese only. If you want to contact me, please send mail to me
webmaster@melodicfrontier.com

お知らせ

MELODIC HARDROCK DISC GUIDE
2013年11月22日にディスク・ユニオン出版部門DU BOOKSより初の著書となる「メロディアス・ハードロック・ディスクガイド」を発売。厳選メロハー作品を400枚紹介。また、藤木昌生氏(BURRN!編集部)との特別対談も掲載。
全国の書店にてご注文受付中。また、以下のネット書店でもご予約いただけます。

DU BOOKS
Amazon.co,jp
HMV ONLINE
TOWER RECORDS ONLINE
楽天ブックス